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ネットワークカメラ「Qwatch」を使って『温室遠隔監視システム(タイマー水やり機能付き)』を手作りしました。

有線/無線LAN対応ネットワークカメラ「Qwatch(クウォッチ)」TS-WPTCAMシリーズ【曽田園芸】
企業名曽田園芸様TS-PTCAM
業界造園業
カテゴリーネットワークカメラ
製品有線/無線LAN対応ネットワークカメラ「Qwatch(クウォッチ)」TS-WPTCAMシリーズ
曽田園芸

島根県 出雲市 曽田園芸の曽田寿博氏と、地元の農業仲間、西尾和廣氏に、アイ・オー・データのネットワークカメラQwatch(クウォッチ)を使って温室管理&水やりシステムを構築した経緯について詳しくお聞きしました。

Qwatchを使って「温室状況把握システム」と「水やりシステム」を自作

--- 曽田園芸ではQwatchをどのように活用していますか?

曽田園芸では、Qwatchを使って「温室の状況を遠隔把握するシステム」、通称「出雲1号」を手作りしました。その後、改良を重ねて「温室のスプリンクラーのタイマー稼働」という機能を追加した「出雲2号」に発展させました。

--- 「温室の状況を遠隔把握するシステム」とは具体的にどのようなものですか?

良い鉢花を作るには、温室の状況、つまり温度、湿度、水やりの状態その他総合的な状況を把握して、素早く手を打つことが重要です。

そこで温室に温湿度計を置いて、それをQwatchで24時間撮影し、その映像をスマートフォンで見るようにしています。
「温室、どうなってるかな∼」と気になったときには、出先でも夕食中でもすぐにスマホで確認するわけです。

Qwatchを改良して出来た通称「出雲2号」

1.「温室、気になるな…、よし、出雲2号に聞いてみよう!」

2.スマホで呼び出し

3.「温度14.4度。湿度81.2%、 苗もいいかんじ。オッケー!」

「出雲2号」のシステム概要は次のとおりです。
項目 内容 備考
システム費用 1箇所あたり約2万円
(TS-WPTCAM)
「Qwatch」「温湿度計」「タイマースイッチ」の3つを買うだけ。
設置箇所 2箇所 出雲の主温室に1つ
60キロ離れた広島分場に1つ
スマホでの表示 Qwatch付属の
専用アプリを利用
専用アプリ「QwatchView」は無料。
電気が使えない温室での電源 太陽光発電 温室内にソーラーパネルを設置。それを自動車バッテリーで通して蓄電、整流した上でカメラに給電
システム構築 全て自力で構築 私は農家なので木工や機械いじりは心得がありますが、パソコンについては、一応使うもののそれほど好きではありません(機械と違って、内部動作が分からないところが親しみにくいため)。

しかしこのシステムは「温湿度計をカメラで映してそれをスマホで見る」というように、しくみが明確なので、自分で納得して迷わず作れました。
なお「出雲2号(TS-WPTCAM)」の前身である「出雲1号(TS-WLCAM)」ですが、こちらの費用はQwatchと温湿度計とで合わせて1万円弱でした。設置箇所は出雲の主温室2箇所(暖房の時期は4箇所)、スマホ表示や電源確保については出雲2号と同じです。

まるでピタゴラスイッチのような、「水やりシステム」

--- 「出雲2号」で機能追加された「温室のスプリンクラーのタイマー稼働」とは具体的にはどのようなものですか?

Qwatchにより温室のスプリンクラーを動かすことで、タイマー稼働の水やりシステムを作りました。 水やりシステムのしくみは以下の通りです。

  1. Qwatchには「カメラとしての首振り機能」がついている。これは遠隔操作も可能。
  2. いますぐ温室に水をやりたいと思ったときは、スマホを使ってQwatchの首を回す。
  3. 回転する首が糸を巻き取って、その糸がカウントダウンタイマーにくっつけた木の棒(レバー)を回す。
  4. するとタイマーがオンになり、一定時間、水が撒かれる(リミット時間が来ると、水は止まる)
  5. Qwatchには「首振り距離をプリセット(事前設定)する機能」があり、4通りのプリセットが可能。現在は、水やり時間が「20分」「30分」「40分」になるように、首振り距離を調整し、プリセットしている。

「出雲2号」で行う「温室のスプリンクラーのタイマー稼働」

1.「温室に水まきしたいなあ。でも今、出先だしなあ…。よし、出雲2号に頼もう!」

2.(スマホ操作で首振り開始)

3.(首振りで糸を巻き取る)

4.(糸がタイマーのレバーを回す)

5.(プシャーッと水まき開始))

--- このからくりは、まるで「ピタゴラスイッチ(※1)」を見ているようです。

はい、ピタゴラスイッチは意識してました。作ってて楽しかったですね(笑)
この手作りシステムについて「4Hクラブ 島根県農林改良青年会議(※2)」の県大会で発表したところ、なんと最優秀賞でした!
今年秋には「4Hクラブ中国四国ブロック大会」で発表します。夢は全国大会、そして農林水産大臣賞ですね(笑)。

※1. 楽しいからくり仕掛けが毎回紹介されるテレビ番組
※2. 『4Hクラブ』とは、全国の若い農業者が所属する組織のこと。4Hとは、腕前(Hands)、頭脳(Head)、精神(Heart)、健康(Health)の頭文字の集まりのこと。
※ 本利用方法はあくまでユーザー様での責任となり、メーカーが推奨している方法ではありません。

(※ 曽田園芸のfacebookより転載)

ある日「そうか、カメラで映せばいいんだ」と気づく

--- このシステムを作ろうと思った経緯をお聞かせください。

きっかけは「クリスマスローズの品質向上」です。
クリスマスローズという花は暑さに弱いので、夏場は蒸し暑い出雲平野ではなく、涼しい高冷地で栽培した方がキレイに育ってくれます。
そこで、まずは100キロ離れた岡山県の山間部で試験栽培を始めてみました。しかし100キロ離れていると、状況把握や管理が難しい。そうそう頻繁にも見に行けませんし。
そういう問題は、立派な「温室総合遠隔管理システム!」を導入すれば解決するとも聞きましたが、いかんせん費用が高いし、なんだか大げさすぎる。
どうしたものかと考えあぐねていたある日、「あ、そうか温湿度計をカメラで映せばいいだけじゃん」と気がつき、そして作ったのが「出雲1号」「出雲2号」です。
今年から夏越しの場所を、今までより40キロ近い広島県の山間部に変更しました。出雲2号をフル活用して遠隔監視も万全。クリスマスローズ9000鉢の夏越し栽培を本格的に開始です!

(クリスマスローズの栽培)

出雲1号、出雲2号のいいところ

--- 出雲1号、出雲2号の曽田様にとっての良さを教えてください!

挙げるとしたら次のような点でしょうか。
  1. 「 簡単、安い、スマホでOK(パソコン不要) 」
  2. 「 ローテクではあるが、必要な情報は全部分かる 」
  3. 「 目で見てわかる 」
  4. 「 結果だけでなく、原因が推測できる 」
  5. 「 スマホを使うので、『いつでもどこでも』 見られる 」

システム費用は1万円弱

--- 良さ1.「簡単、安い、スマホでOK」とは。

出雲1号は、「温湿度計をカメラで写す」というただそれだけのシステムです。難しいことは何もありません。
費用は出雲1号の方がQwatchと温度計とで1万円弱。安かったです。
(※ 出雲2号は首振り機能付きカメラを使っているので2万円弱) 設定はスマホでできて、パソコンが不要なのも便利でした(※)。
※ Qwatch付属の無料アプリ「QwatchView」を使用

知りたいことは何でも分かる

--- 良さ2.「ローテクではあるが、必要な情報が全部分かる」とは。

こちら出雲1号がスマホに送ってくる映像の例です。この一枚の映像を見るだけで「僕にとっての温室管理に必要な情報」はほぼ全部分かります。
まず「温度」「湿度」という基本情報。そして「水やりの成否」。
水やりの成否は「鹿沼土の色」を見れば分かります。鹿沼土は、乾いているときは色が白く、湿ると黒くなるので。
「風の強さ」も、温室のビニール壁がバタバタしているかどうかで、おおよそ判断できます。
その他、「温室内の日照の具合(=遮光が的確かどうか)」「風通しのための側壁の開閉状況」も映像を見れば視覚的に把握できます。
映像に写してしまうというのは、馬鹿馬鹿しいようでいて実は確実だし、将来の拡張もラクです。何でもかんでも写せばいいだけですから。

(※ 曽田園芸のfacebookより転載)

農業は「目で見て分かること」が大事

--- 良さ3.「目で見て分かる」とは。

(西尾様):出雲1号をはじめて見たとき、これはスゴイ!と思いました。目で見て分かるのが最高でした!

(曽田様):農家の僕たちにはそれが大事です。出雲1号は、システムに詳しい人の目からは不格好に見えるようです。「これカメラ要るの? 温湿度のデータをセンサーから直接ネットに送信すればいいじゃない」と言われたこともあります。だけどデータだと、スマホの上に「35度」とかの数字がポツッと写るだけでしょ。それだとちょっと…

(西尾様):うん、それじゃダメ。やっぱり作物の「顔」が見えないと。

(曽田様):僕も、シクラメンやクリスマスローズは一鉢一鉢、様子を見ながら育てています。農業の基本は「自分の目で見ること」だと思うんです。それに目で見える方が安心感が高いです。先日、台風11号が中国山地を縦断しましたが、そのときは広島の温室のことがとても心配でした。でも出雲2号で温室の様子を目視確認できたので、ひとまず安心できました。

温湿度計をカメラで撮影するというのは、ITの専門家の目からはダサく見えるのかもしれません。でも私がやりたいことは「良い鉢花をつくること」であって、「システムが格好良いか良くないか」は正直どうでもいい。
やっぱり目で見える方がいいです。

台風11号が来たときの映像 「温度23.1度、湿度85%。温室ビニール壁には大量の雨がかかっているが、とりあえず無事」 など映像だけで色々なことが分かる。

ただ数字だけ分かっても意味がない

--- 良さ4.「結果だけでなく原因を推測できる」とは。

(曽田様):センサーを使った「数字だけ分かるシステム」の場合、たとえば「温室が異常高温になっている」という「事実(数字)」は分かりますが、しかし異常高温の「原因」を推測するための情報は提供されません。

一方、カメラによる映像ならば、それを見れば、「温室内の様子」、「天候」、「サイドの開閉状況」、「遮光の開閉状況」、「水やり状況」など、全体の状況がぼんやりとわかります。そこから「なんだ、高温の原因は、パートさんが遮光するのを忘れてただけか」など原因が分かり、それに基づいて細かい指示が出せます。

センサー型システムの場合、温度データを蓄積し、その推移を分析できることは大きな利点です。しかし、私にとってはその利点よりも「現場が目で見えること」の方が重要です。農業の現場ではデータより映像の方が「使える」と思います。

パソコンで見るのだと「使えない」

--- 良さ5.「 スマホを使うので、『いつでもどこでも』 見られる 」とは。

野外作業が基本の農家にはパソコンよりスマートフォンの方が便利です。スマートフォンなら農作業中でも使えますから。
温室のことは気になったときにすぐ調べたい。ということは、映像を見る端末は「机の上のパソコン」では絶対にダメで、いつも持ち歩いているスマートフォン以外ありえません。
Qwatchを選んだ最大の理由がこの「映像がスマートフォンで見られるから」ということでした。

温室で使って、もし壊れたらどうするのか?

--- 現在、Qwatchを温室という高温多湿の環境で使っているわけですが、「耐久性」の点で懸念はありませんでしたか。

確かに温室は、精密機械にとっては良い環境ではありませんが、そこはメイドインジャパンだから、まあ、大丈夫なんじゃないかなと。それにQwatchの値段なら、「もし壊れたら買い換えればいい」わけです。耐久性のことは深く考えないことにしました。
ただスプリンクラーの水がかかるのはさすがにマズいので、最近はQwatchを水槽に入れたりしています。まあ、その程度のアナログの対策で問題ないだろうと。

先輩ユーザーからのアドバイス

--- 現在、システム化を検討中の農家向けに「先輩ユーザーとしてのアドバイス」などあればお聞かせください。

農家の目的は、いい農作物を作ることであって、システムは手段にすぎません。システムを導入するときには「世の中では普通こうしている」とか「これが最新のシステムだ」とか「ちゃんとしたシステムを入れないとみっともない」とか、そういう話に惑わされることなく、「自分にとって本当に必要なこと」は何かを見極めて、それだけをやれば良いと思います。

アイ・オー・データさん、今回、Qwatchのおかげで出雲1号、2号が完成しました。すごく役立ってます。これからも工夫を重ねて、もっと良いシステムを作っていくつもりです。引き続きよろしくお願いします。

導入企業概要

導入企業概要
企業名 曽田園芸
会社概要 シクラメン、クリスマスローズ、あじさい等の栽培
所在地 島根県 出雲市 斐川町
担当者名 曽田寿博氏
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